彼らはサウルの首を切り落とし、武具を奪った。ペリシテ全土に使者が送られ、彼らの偶像の神殿と民に戦勝が伝えられた。
彼らはサウルの武具をアシュトレト神殿に納め、その遺体をベト・シャンの城壁にさらした。
サムエル記上 31:9-10
「まだ一人、愛する息子がいた。
『わたしの息子なら敬ってくれるだろう』と言って、最後に息子を送った。
農夫たちは話し合った。『これは跡取りだ。さあ、殺してしまおう。そうすれば、相続財産は我々のものになる。』
そして、息子を捕まえて殺し、ぶどう園の外にほうり出してしまった。
さて、このぶどう園の主人は、どうするだろうか。戻って来て農夫たちを殺し、ぶどう園をほかの人たちに与えるにちがいない。」
マルコによる福音書 12:6-9
サムエル記上の最終章。
ペリシテ人と戦うための王という神の器に選ばれたサウル王は、*1神の沈黙に耐えきれず、逆境の中で主に尋ね求めるのではなく、逆に霊媒師に頼る。*2
彼の罪は主の目に大きく、サウル王はその罪の故に死ぬことになる。*3
サウル王という器は壊されたが、*4もう一つの器、ダビデはどうだったか。
ダビデもある意味神の沈黙の中に居た。
疑心暗鬼に陥ったサウル王から逃れるため、祖国イスラエルを裏切り、敵方のペリシテ王の家臣となったダビデは、領地を守れず、自分自身や兵士たちの家族を誘拐される。
進退極まったダビデだが、彼はその時に「その神、主によって力を奮い起こした。」*5
これにより、ダビデの放浪物語冒頭にて示された二つの象徴により、彼は古代イスラエルの正式な王となる。
祭司しか食べることが許されていない聖別されたパンと、*6ペリシテ人の巨人ゴリアテの剣*7を祭司アヒメレクから受け取った彼は、この二つの力により古代イスラエルの聖なる王となる。
*1:「「明日の今ごろ、わたしは一人の男をベニヤミンの地からあなたのもとに遣わす。
あなたは彼に油を注ぎ、わたしの民イスラエルの指導者とせよ。
この男がわたしの民をペリシテ人の手から救う。民の叫び声はわたしに届いたので、わたしは民を顧みる。」
サムエルがサウルに会うと、主は彼に告げられた。
「わたしがあなたに言ったのはこの男のことだ。この男がわたしの民を支配する。」
サムエル記上 9:16-17
*2:サウルは主に託宣を求めたが、主は夢によっても、ウリムによっても、預言者によってもお答えにならなかった。
サウルは家臣に命令した。
「口寄せのできる女を探してくれ。その女のところに行って尋ねよう。」
サムエル記上 28:6-7
*3:サウルは、主に背いた罪のため、主の言葉を守らず、かえって口寄せに伺いを立てたために死んだ。
彼は主に尋ねようとしなかったために、主は彼を殺し、王位をエッサイの子ダビデに渡された。
歴代誌上 10:13-14
*4:「立って、陶工の家に下って行け。そこでわたしの言葉をあなたに聞かせよう。」
わたしは陶工の家に下って行った。彼はろくろを使って仕事をしていた。
陶工は粘土で一つの器を作っても、気に入らなければ自分の手で壊し、それを作り直すのであった。
そのとき主の言葉がわたしに臨んだ。
「イスラエルの家よ、この陶工がしたように、わたしもお前たちに対してなしえないと言うのか、と主は言われる。
見よ、粘土が陶工の手の中にあるように、イスラエルの家よ、お前たちはわたしの手の中にある。」
エレミヤ書 18:2-6
*5:サムエル記上 30:6
*6:普通のパンがなかったので、祭司は聖別されたパンをダビデに与えた。
パンを供え替える日で、焼きたてのパンに替えて主の御前から取り下げた、供えのパンしかなかった。
サムエル記上 21:7
*7:祭司は言った。
「エラの谷で、あなたが討ち取ったペリシテ人ゴリアトの剣なら、そこ、エフォドの後ろに布に包んであります。
もしそれを持って行きたければ持って行ってください。そのほかには何もありません。」
ダビデは言った。「それにまさるものはない。それをください。」
サムエル記上 21:10