ジフの荒れ野のホレシャにとどまっていたダビデは、サウルが自分の命をねらって出陣したことを知った。
そのとき、サウルの子ヨナタンがホレシャにいるダビデのもとに来て、神に頼るようにとダビデを励まして、 言った。
「恐れることはない。父サウルの手があなたに及ぶことはない。
イスラエルの王となるのはあなただ。わたしはあなたの次に立つ者となるだろう。父サウルも、そうなることを知っている。」
二人は主の御前で契約を結んだ。
ダビデはホレシャに残り、ヨナタンは自分の館に帰って行った。
サムエル記上 23:15-18
イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。
そのとき、湖に激しい嵐が起こり、舟は波にのまれそうになった。
イエスは眠っておられた。
弟子たちは近寄って起こし、「主よ、助けてください。おぼれそうです」と言った。
イエスは言われた。
「なぜ怖がるのか。信仰の薄い者たちよ。」
そして、起き上がって風と湖とをお叱りになると、すっかり凪になった。
人々は驚いて、「いったい、この方はどういう方なのだろう。風や湖さえも従うではないか」と言った。
マタイによる福音書 8:23-27
古代イスラエルの狂った王、サウルに命を狙われ続けるダビデ、彼に知らせが届く。
ユダの地とペリシテの境にある街、ケイラで同胞たちがペリシテ人により略奪されているというのだ。
ダビデに対し主から「行け、ペリシテ人を討って、ケイラを救え。」*1との託宣が下るが、ダビデの部下たちは本拠地のユダの地においてすらペリシテに怯えるほど戦力が劣勢なのに打って出るべきだろうか。と及び腰である。
再び託宣が下り、ダビデと兵はそれに従いペリシテと戦い、勝利する。
彼らはケイラの街を救ったのだ。
ダビデの命を求め続けるサウルにその戦いが知られる。
サウルは全軍でケイラの街を包囲する。
ダビデは再び主に託宣を求める。
ダビデが、「ケイラの有力者らは、わたしと兵をサウルの手に引き渡すでしょうか」と尋ねると、主は「引き渡す」と言われた。*2
ダビデは略奪にあっている街を救った。自分自身が命を狙われ、追われる身でありながら彼は主の言葉に従い、略奪されている街を命の危険を顧みず救った。
その自らが救ったケイラの街の人々が、あなた、ダビデを売り渡すのだ、と主は言われる。*3
ダビデは荒野を逃げ続ける。何も頼りにならず、命を救った人間にも売り渡されそうになった彼に、親友ヨナタンは言う。
「恐れることはない。父サウルの手があなたに及ぶことはない。イスラエルの王となるのはあなただ。」*5
アブラハムと妻サラが夜空の星のように数え切れないほどの子宝に恵まれる。*6との約束と同程度に信じられない状況での約束である。
しかし、この言葉を聞き、ダビデとヨナタンは再び主の前で契約を再確認する。*7
「わたしとあなたが取り決めたこの事については、主がとこしえにわたしとあなたの間におられる。」
*8からである。
*1:サムエル記上 23:2
*2:サムエル記上 23:12
*3:彼らの中の一人で、その年の大祭司であったカイアファが言った。
「あなたがたは何も分かっていない。 一人の人間が民の代わりに死に、国民全体が滅びないで済む方が、あなたがたに好都合だとは考えないのか。」
ヨハネによる福音書 11:49-50
*4:そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって、 言った。
「神殿を打ち倒し、三日で建てる者、神の子なら、自分を救ってみろ。そして十字架から降りて来い。」
同じように、祭司長たちも律法学者たちや長老たちと一緒に、イエスを侮辱して言った。
「他人は救ったのに、自分は救えない。イスラエルの王だ。今すぐ十字架から降りるがいい。
そうすれば、信じてやろう。 神に頼っているが、神の御心ならば、今すぐ救ってもらえ。
『わたしは神の子だ』と言っていたのだから。」
マタイによる福音書 27:39-43
*5:サムエル記上 23:17
*6:主は彼を外に連れ出して言われた。
「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい。」
そして言われた。
「あなたの子孫はこのようになる。」
アブラムは主を信じた。主はそれを彼の義と認められた。
創世記 15:5-6
*7:二人は主の御前で契約を結んだ。ダビデはホレシャに残り、ヨナタンは自分の館に帰って行った。
サムエル記上 23:18
*8:サムエル記上 20:23